ヨコアナ
3.立場逆転
「もう嫌だよっ!!!」
穴蔵に、僕の絶叫が響き渡る
自分で叫んだ癖に、反響し合う音に思わず顔を顰めた
それ以上に目の前のラインの方が驚いていたけれど
怒っている僕の顔をラインは困った様に見つめていた
何かが起きた訳じゃなかった
ただ、僕がこの生活に耐えられなくなっただけだ
「マグ・・・」
どうにか宥め様とラインが僕の身体を抱き締める
その胸を僕は何度も叩いていた
「食べ物美味しくないし飲み物も美味しくないし・・・」
何処かで見つけてくる木の実、主に食べているのはそれだった
たまに集落で狩りをして肉が回ってきても臭いが強すぎてとても僕は食べられなかった
水は、ただの水なら沢山あっても
町にあった色んな味のした飲み物はほとんど見当たらなかった
「色々不便だし・・」
書類に使う紙とペンだけはしっかり持ってきたのはいいのだけど
それ以外の服や、布団や、とにかく足りない物が多かった
僕の前に居るラインは破けた服を着ている
どうしてもと言うから、試しに一着貸してみた物で
多少体格に差があるせいで余計に危ない格好になったまではよかったけれど
そのままの格好で見張っている崖から飛び下りて身体を激しく動かしたり
木を掻け分けて枝に引っ掛けたりするから、簡単に破れてしまう
それでもまだ着ているのは多分気に入っているのだろう
着たまま何度か犯されたし
「好きって言ってくれないし・・・」
これは、ちょっとした不満の様なものだった
抱き締めたりキスしたりはしてくれるのに、これだけは何故か口にしたりしない
僕の言葉を聞くとラインは怪訝そうな顔をしていた
「・・・・・夜、すごいし・・」
かなりの小声で呟いた
不満な訳ではないのだけど、毎回激しいから翌日に疲れを引き摺ってしまう
疲れてラインを中に受け入れられない時は、僕を仰向けのまま裸にして
その上に跨って射精して、もし少しでも反応をすれば僕自身まで扱いてくる
一度、疲れが溜まりすぎて先に眠ってしまった時は
我慢出来なかったのか、足に何か掛けられた感触と呻き声で目が覚めて
服まで汚れているのに気付いた僕に大目玉を食らっていた
流石にそれ以降、反省したのかする回数自体も大分抑えてくれたけれど
それでもたまに溜まっている時は空が白み始めるまでされる事もある
気持ちは分からなくない、絶頂感が癖になるのは理解出来るのだから
況してやラインは射精の快感を覚えたばかりなのだし
分かっている、大半は僕の我侭で
此処で暮らしているラインの事を馬鹿にしている事も
それでも、今まで散々便利な暮らしを味わっていた身体は拒否反応を起こしてしまう
叩いていた腕の動きが何時の間にか弱くなっていた
言いたい事を言い終えると、落ち着いたのか身体から力が抜け始める
「・・・帰りたい・・」
ぽつりと、つい零してしまった
それにラインの身体が一度跳ね上がる
「あ・・・」
思わず言ってしまったのに気付いて慌てて顔を上げる
ラインの表情は複雑そうだった
僕が不便に感じているのは、ラインだって充分に分かっている
だから、なるたけそれを感じない様にラインも僕を助けてくれる
それすら踏み躙っている様な気がして、言ってから後悔した
「マグ・・・・」
寂しそうな響きの声が耳に届く
それに視線を逸らして腕から抜け出すと、起きたばかりなのに僕はまた布団の上に行って包まってしまう
今日はラインと外を探検する日なのに
そう思っても、もう身体が動かなかった
ラインは暫く僕の事を見下ろしていたけれど、掛ける言葉が見つけられないのか
用事が無ければ監視をしに行くのもあって、そのままゆっくりと外へ歩いていった
ラインが出て行くと途端に穴蔵は静かになって
昨夜もその相手をして疲労が溜まっていたのもあって、無理矢理目を瞑ると直ぐに全て忘れて眠った
肌寒さを感じて目を開ける
何時の間にか布団を退けてしまっていたのか、ずり落ちていた布団を慌てて掴んで引き寄せる
そのまま起き上がって辺りを見渡すと、長く眠っていたのか
視界が悪くて穴蔵全体がかなり薄暗いという事しか分からなかった
立ち上がると外に出て空を見上げる
月は出ているけれど、僕と月の間に大きな雲が出来ていて
それがほとんど月光を遮っていた
それに顔を顰めてから辺りを見渡すけれど、ラインの姿は何処にも見当たらなくて
途端に寂しい気持ちになる
怒って遠くに行ってしまったのだろうか
無理もない、あんな言い方をされたら誰だって怒るだろう
それでも此処はラインの家なのだからその内帰ってくる
そんな事は分かっているのに、僕は横の道を歩くと崖から下り始めた
どうせ、この光の強さでは書類を纏める事なんて出来ないのだし
ラインは何処に行ったのだろう
一歩踏み出しても、視界が悪いのもあって進んでいる気分にならなかった
一歩進む度に、寂しさだけが大きくなって近づいてくる
それに耐えられなくなった頃に小さな窪みに躓くと僕は盛大に転んだ
上半身を起こして反射的に目の周りを拭う
それが却って、手に付いた土が目に入って状態を悪化させる
元々視界が悪いのに、もう何も見えなくなった
歩かなくても、寂しさが増してゆく
「・・・・ライン・・」
名前を呼べば、何時も直ぐに傍で寄り添ってくれるのに
全部僕のせいだから仕方ない
それでも我慢出来なくて、瞳から涙が零れていた
「マグ!」
流れた涙が頬を通り、顎の付け根に辿り着いた頃
声が聞こえた
俯いていた顔を慌てて上げると同時に視界が明るくなった
光を遮っていた厚い雲が無くなったのだろう
それでも土の入った目を上手く開けられなくて、困っていると
柔らかさと生温かい感触を感じる
それが目の辺りを何度もなぞっていた
僕の目が見えないのを知ったラインが、舌で土を取っているのだろう
途中で頬や口にもキスをされる
土を取り終えると、それを吐き出していた
視界が大分綺麗になると、今度は何処から持ってきたのか綺麗な布で顔を拭いてくれる
それでやっと、視力が元に戻った
月光に照らされているラインの顔は
もし次に会ったらどんな顔をして怒っているのだろうかという心配を見事に無視して微笑んでいた
それを見て思わず、その身体に抱きつく
「ライン・・・ごめん・・・・」
今日思った事、ラインにした事、全部謝った
泣きながら時折思い出した様に謝る僕を、ラインは不思議そうに見つめていた
顔を上げて表情を探っているとまた唇を合わせてくれる
それが、怒っている訳でも嫌いになった訳でもないという事を伝える一番の証拠だから
それで、漸く涙が止まった
ラインが僕の身体を持ち上げる
幸い、転んでも軽く擦った程度なので歩けるのだけど
泣きじゃくっていた僕を心配しているのか、大丈夫だと言っても穴蔵まで運んでくれていた
穴蔵に戻ると、強い月の光で中は明るくて
布団の上にゆっくり僕を下ろすと、何故かラインは全速力で穴蔵から出て行った
首を傾げていたけれど、直ぐに遠退いていた足音が戻ってきて
再び現れたその両腕一杯に、ごちゃごちゃと色々な物が詰まっていた
さっき僕の顔を拭くのに使った布もその一部の様で
布団に腰を下ろすと、その上に持っていたものをラインがばら撒いた
「どうしたの?これ・・・・」
そう尋ねても、ラインは広げられた品に夢中になっているのかそれに手を伸ばしていた
仕方なく僕も同じ様に物色すると
大きな葉に包まれた臭いを抑えた肉類や、瓶に詰められた飲み物の様な液体
顔を拭ってくれた布、他にもよく分からない物が転がっていた
「・・集めてきたの?」
落としていた視線をラインに向ける
それにだけは頷いて、笑顔で答えてくれた
よく見ると着ている服は今朝見た時よりもずっとボロボロになっていて
ほとんど服としての機能を果たしていなかった
多分、朝から晩まであちこち駆けずり回って掻き集めて来たのだろう
僕が足りないと嘆いた物が揃えてあった
流石に、新しい服や大きな布団なんて物は見つけられなかったのだろうけれど
小さな祭りが始まった
二人だけで、ラインの持ってきた飲食物を食べるだけのささやかなものだけど
今朝から続いていたもやもやとした気持ちが晴れて、僕にとっては楽しい祭りだった
持ってきた飲み物を勧められて飲むと口内から鼻に掛けて咽返る様な臭いが広がる
味がよく分からなくて、口に含んでから漸くそれが酒の様な物なのだと理解した
ラインも飲んだ事はほとんどないのか、酔って身体を左右に揺らす僕を見てから瓶の中身を飲むと
気に入ったのか、更に一口飲んでから大きく息を吐いていた
すっかり出来上がってしまった僕達はそのまま笑いながら食事を続けていて
それが終わったのは、月が真上に着いた頃だった
布団を整える
時折小さな笑い声が洩れてしまうのは、完全に酔っているからだった
僕の傍にラインがやってきて腰を下ろす
「ライン、ありがとう」
顔を向けると、笑ってそう言った
それを聞いてラインが唇を合わせてくる
舌が入り込むと、口から酒の臭いが強く伝わってきた
僕の口からも同じ臭いがするはずなのに、その臭いをラインが運んできてくれた様に感じる
口から唾液が溢れ出した頃ラインが僕の身体を押し倒した
「ライ・・・ン・・」
駄目、と言おうとして口の動きが止まる
昨日したばかりだから辛いのは分かるけれど、今は受け入れたい気分でもあった
僕が拒まないのを知ると首筋を撫でながら服を脱がされる
一度離れると上も脱がされて、あっという間に全裸にされてしまった
ラインも服を脱ぐと、前に僕が教えた通りに畳んでから少し遠くに置く
裸のまま抱き合うと僕の身体が震える
刺激を感じたからではなくて、ラインの身体が僅かに湿っていたからだ
駆けずり回っていたのだから途中で身体を洗ったのだろう
ラインの動きは性急で、既に大きくなっていた自身を僕のお腹に擦り付けていた
何時もと変わらない動きに、元に戻ったのだと安心する
それでも、次にはラインの動きが変わった
何故か身体を離し始めるのだ
不思議に思っていると、ラインは僕の股の辺りに顔を下ろすと
勃起しかけていた僕自身を軽く舐めた
それに、低く声を上げて身体を捩る
「・・ライン?」
意外だった、今までは僕がラインにする事はあっても
その逆はなかったし、僕もラインを咥える事で満足するからしてほしいとも思った事がなかったのだ
「マグ・・・」
切なげに名前を呼ぶと、暫く考えていたラインが意を決して咥え始める
「うあっ」
何時も僕自身に与えられる刺激は、ラインのお腹に擦られるか
余裕があれば僕が自分で扱くかのどちらかで
慣れない初めての刺激に、身体が大きく震える
ラインの長い舌が口内で絡みついて、亀頭から付け根の部分までを何度もなぞる
時折吸い上げる様にされると、締め上げられる感覚に腰が浮いて弓形に身体が撓った
「あっ・・ライン、いっ・・・いい・・」
何時もなら羞恥心が出てこんな時感じられないはずなのに
酔いが回っている今の状態は、声も身体の動きも抑えられない
身体を震わせて何度も喘いで、僕は汗だくになっていた
ラインから与えられる刺激に慣れ始めた頃、僕は妙な音を聞く
水の濡れる音
それは確かにラインが咥えている僕自身からも聞こえてくる
時々抜き出す度に音がして、外気に晒された部分が冷たく感じる
それが口の中に戻されて粘膜に包まれるとまた声が出る
でも、聞こえているのは其処ではなくて
首の部分だけを上げて遠くを見ると、ラインの腕が不自然に折り曲がっていた
その腕が向かう先を見て僕は驚く
ラインが、自分の尻の間に手を入れているのだ
動きをよく観察すると、指を入れたと思わしき時にラインが目を瞑って声を漏らしていた
その動きに僕も喘いでいて、今まで気付かなかったのだけれど
ラインが、漸く顔を上げた
達する直前だったのでそれを見て僕は安堵する
「マグ」
快楽と酔いに意識が朦朧としていた僕の名前をラインが口にする
ラインはまだ自分の指を入れていて、よく見るとその傍に小さな壷があった
確か、ラインが持ってきた物の中に交ざっていたもので
それを潤滑剤の代わりにしているのか、無理な勢いで指を出し入れしていた
僕が身体を起き上がらせると、初めてしてくれた時の様にその身体を支える
指を入れる度にラインが苦しそうな顔をしていた
恐らくラインは慣らした事がないのだろう
その頭を何度も撫でると、弱く尻尾が揺れていた
分からないのは、どうしてラインが今指を入れているのかだった
悩んでいると、指を引き抜いたラインが大きく息を吐いてから不安そうに僕を見ていた
それでも今更引けないとばかりに、ラインが僕に背を向けてうつ伏せの体勢になり尻を上げた
それに僕は目を丸くしてしまう
「マグ・・・交代だ」
それで、どうしてラインがこんな事をしているのかがやっと分かった
僕の侵入を待つラインの前で僕は固まっていた
つまり、僕が今朝零した愚痴のせいなのだろう
ラインを受け入れて僕が泣くことはしょっちゅうあるし、ラインも辛そうな顔をしていた
その内慣れると気持ちよくなるけれど、ラインの大きすぎる陰茎は何時も受け入れるのに必死だったし
何より一度射精してもラインは満足せずに続けられてしまう
他の愚痴は、求められている物を出来るだけ調達して来る事で解消は出来るけれど
この愚痴だけは上手く考えが浮かばなかったのか
考えに考えて行き着いたラインの答えが、受け入れるのが辛いのなら入れる立場にさせるという事だった
ラインの肛門は僕を求めてひくひくしていて、それを見て口の中にある唾を飲み込んだ
そうしないと涎になって出てしまいそうだった
でも、僕は入れるのを躊躇ってしまう
ラインが入れていたのは指一本で、それでもかなり苦しそうだったし
大体僕はラインを受け入れるよりも大分前から指で感じる様にしていたから
痛みを大きくは引き摺らなかったし、ラインの大きさに根を上げなくて済んだのだ
なのにラインは入れられる事にまったく慣れていないし、もし入れたら痛みでのた打ち回るだろう
それは流石に気が引けた
「マグ・・」
顔を僕の方に向けて、ラインが名前を呼ぶ
その顔に怯えが入り混じっているのは薄暗いこの穴蔵でも分かった
それでも入れて欲しいのだろう、引く様子は無いみたいで
仕方なく僕はその腰を寄せる
体格の差で、入れやすいのはこの体位なのだろう
ラインの中に入れようとすると、その尻尾が激しく揺れていた
今は喜びを表しているのではなく無意識に僕の侵入を邪魔したいのだろう
尻尾の付け根を乱暴に掴み取った
「うぐっ!!」
強く掴まれた事でラインが呻き声を上げる
これでもう逃げられない
酒に酔って勢いがついた僕も、逃がすつもりはなくなってきた
唸り声を上げて僕を犯すラインはこんな気分なのだろうかと
そう考えながら、ラインの尻に先端を宛がった
ラインが散々唾液をつけてくれたので、侵入するのには充分だった
ラインの中は流石にほとんど慣らしていないせいで、強く締められて思わず声が洩れる
「ぐぅぅっ・・・がっ・・・」
腕を組んで耐えようとしていたラインは、両腕で身体を持ち上げると逃げ出そうとしていた
それでも尻尾を掴まれていて上手く前に進めない
その進む速度よりも早く、それでもゆっくりと腰を進め始めた
「あああっ!!」
痛みに、ラインが身体を震わせる
それを見て僕は動きを止めた
ラインは苦しそうに呼吸を繰り返して、魘された様に呻いていた
「痛い?」
何時もの声の調子で僕は問い掛けた
目だけをこちらに向けたラインは、涙を浮かべていて
言葉は上手く出せずにいた
「いつも、ラインの入れられるから大変なんだよね・・・」
そう言って腰を突き出す
といっても実際はほとんど突き出していない、少し腰を引いてから前に出しただけで僅かに進んだだけだ
それでも、既に頭の中に痛みとしての恐怖が植え付けられているのかラインが声を上げた
「あがぁぁっ!!・・マグっ、ごめん・・ごめん・・・・」
悲鳴を上げながら、ラインが何度も謝る
僕の大きさはは並の物で、ラインはそれよりも大きい
自分の大きさで突っ込まれた時の事を考えてしまったのだろう、それに耐えている僕に必死に謝っていた
入れている僕自身を少し引き抜く
改めて見るとほとんど入ってはいなかった、ただ慣らしもせずに入れた事と
ラインが最初の痛みに驚いて混乱してしまったのだろう
「・・・もう・・・・・やめようか?」
辛いなら止めた方がいい
今の状態でこれでは、とても進めないだろう
僕が遠慮しているのに気付いたのか、ラインが身体を上げる
その拍子に少し奥に入ってしまいまた呻いていた
「駄目・・・だ、もっと・・」
そう言って自ら腰を近づけてくる
その動きを僕が手で制した
「・・・ゆっくり入れるから」
それでラインは動きを止める
口から涎を吐き出して、まだ入っていない部分に塗りたくる
それと尻の割れ目にも垂らしてから少し待って腰を進めた
「うっ・・・んはぁ・・」
さっきまでの様に声を上げる事はなくなったけれど、ラインは辛そうに呻いて布団が破れそうな程爪を立てていた
それを見ながら、僕は侵入している自身を見つめる
入れるのも入れられるのも、初めての相手がラインになった
それが何だか嬉しく感じられる
ラインも多分、そうなんだろうけれど
そんな事を考えている余裕はないだろう
入れている僕も、初めての感覚に戸惑いながらも達してしまいそうだった
「・・・あっ・・待って・・・」
ラインの締まりが強くなる
僕の身体が震えて、ラインの身体も合わせる様に動いた
出てしまう
「ひぃっ!!」
ラインの口から高い悲鳴が洩れた
どうしてだろうかと思って見ると、達してしまいそうになった僕が尻尾を握る手に力を込めてしまったからで
それで全身に力を渡らせたためにラインの締める力が更に強くなる
「あっ、出る!」
僕の先端からラインの中に液体が吐き出されるのが分かった
息を吐きながら、僕は懸命にそれを止めようとする
射精が、途中で止まった
それでも半分は出てしまったのだろう、深く入れた訳でもない結合部から精液が零れてきた
「・・出ちゃった・・・・」
もっとしたかったのに、そう思って口にした言葉だった
「はっ・・・・・マグぅ・・」
身体を震わせて僕の名前を呼ぶラインに気付くと、慌てて尻尾を放した
解放された尻尾はだらんと垂れ下がって動かなくなる
ラインが顔を上げると、僕を見てから腰を近づけてきた
ラインの中に僕自身が呑み込まれていく
達したせいで萎えているのと、吐き出した精液のおがげで先程よりも挿入は楽だった
全てが入ると、ラインが何度も息を吐く
「ライン、力抜いて・・・」
僕の指示通りに、ラインの身体全体から力が抜け始めた
漸く締め付けが緩むと、少し引いてから前よりも奥に入れるというのを繰り返した
その内また湧き上がる衝動と共に僕の雄は膨らんでゆく
受け入れたものが中で膨張しているのに、ラインは敏感に喘いでいた
程無くして、ラインが僕を完全に受け入れる形になった
生温かい感触がする
手で処理をするのとはまた違った感覚に、僕は呻く
初めて中に受け入れたラインも、異物が押し入れられる事に戸惑いながらも喘いでいた
「ライン、熱い・・・すごい」
初めてでよく受け入れられたと、感心しながら
温かい内部に僕はほっとしていた
「マグ・・」
僕の名前を呼んで、ラインがゆっくりと腰を振りはじめる
「いいの?」
自分がする様にやれと伝えたいのだろう
本当に、僕の要求を全て呑むつもりでいる
奥に一度腰を突き進めた
ラインが短く低い声で喘ぐのを確認してから身体を押し倒して覆い被さる
「ライン・・・ありがとう・・」
身体を抱き締めてラインの胸に手を当てると、心臓の煩い鼓動が伝わってきた
この命と繋がっている
嬉しくて、穏やかな気分になった
それとは別に、ラインの中に入れた雄は快楽を求めて何度もびくびく震えている
「いくよ・・」
身体を起こしてからギリギリまで引き抜いて、半分くらいまで一気に入れる
それを何度も繰り返した
ラインは布団に顔を埋めて、声を上げる
大きな男が喘ぐ姿に、今まで感じたことのない征服感を覚える
根元まで一気に貫いた
「うわああっ!!」
刺激に慣れてきて顔を上げかけていたラインが悲鳴を上げた
片足だけ立てると、突く角度を変える
そうするとまだ突かれていない場所をラインは突かれるから、また違った声を上げていた
「ごめん、ライン・・・」
謝りながら、また腰を突き出す
もう止められなかった
ラインを喘がせてイかせたい、頭の中でその想いがどんどん大きくなってゆく
勢い良く引き抜くと、ラインの身体が何度も震える
身体を押して横倒しにさせると、片脚を上げさせて其処に自分の脚を挟む
そして容赦無くまた陰茎を入れる
体位は後ろからとこれくらいに制限されるけれど、僕は満足だった
「うあっ!?」
ラインが目を見開いた
手を伸ばした僕が、萎えていたライン自身を掴んだからだった
流石に、掘られるだけで勃たせるのは難しいのだろう
それでもこの体勢なら楽にラインを扱く事が出来る
感じやすいラインは、直ぐに反応を示して声に喘ぎを混じらせていた
今まで見た事もない光景が視界に広がる
それが、また僕の腰の動きを荒々しくさせていた
「マグッ!!」
喘ぎながら、ラインは腰を振って僕を呼んだ
刺激に身体を丸めながらも僕を求めるのは、達しそうなのだろう
僕も限界だった
「ライン、いくっ・・イく!!!」
最後に三度、引き抜いてから一気に突き刺す動作をした
「マグ!うぐあぁっ!」
僕が中で果てると、ラインも絶頂を迎えて射精した
身体を折り曲げているせいで砲身との距離は縮まっていて、飛び出した精液がラインの顔全体に掛かる
「あっ・・・あぁ・・」
ラインが達して今までにない程の力で締められて、僕の口から途切れる事無く声が洩れる
満足して引き抜くと、尻から精液を溢れ出して顔も白く汚れているラインと目が合った
朝の匂いがして、薄目を開ける
それに心地良さを感じていると、今度は嫌な臭いがした
「・・また水浴びにいかないと・・・」
ラインとした次の日は何時も水浴びをしないといけない
おかげで、こんな所に住んでいる割には身体は随分綺麗だった
起き上がろうとすると腕が掴まれているのに気付く
顔を横に向けると、嫌な臭いの元が居た
僕は大して汚れていないけれど、ラインは身体中が精液で汚された様なもので
拭ったり舐め取っただけでは綺麗にするなんて無理な話だった
眠る前は白く汚されていたその顔は、それでもあの時と比べたらずっと綺麗で
それを見たせいで昨夜の事を思い出して身体が反応してしまう
「おはよう、ライン」
笑顔で挨拶をしても、ラインは浮かない顔をしていた
「マグ・・・・」
「・・どうしたの?」
何時もなら、性欲も処理出来たのだからただ甘えてばかりいるのに
今のラインはとても甘えるとかそういうことをする様には見えなかった
「尻・・・痛い」
「は?」
具合が悪いのかと思っていたところにそんな事を言われて僕は戸惑ってしまったが
その次には直ぐにどうして痛いのかが分かる
「ご、ごめん・・やりすぎちゃったんだよね」
慣れている僕でさえ時々痛くて起き上がれないのだ
ラインが避けられるはずもなくて、その頭を撫でる
布団の中にある尻尾が弱弱しく動いていた
大きな息を吐いて、遠くを見つめる
一度崖から見える所全てを見渡してから僕は大きく広げた紙に目を落とした
何度も確認しながら、見える景色を紙に写してゆく
写真が撮れればいいのだけれど、現像するための機材はとても持ってこられなかったので
大きい絵はそのまま大きい紙に、小さい絵は資料の一部に描いていた
纏めてある資料の中にはラインが教えてくれた植物の絵が細かく描いてある
絵を描きながらも時々警戒した様に眼下に目を配る
何時もはここを見張っている、資料の絵を描くために案内もしてくれたラインは
穴蔵の中から時々呻き声をあげながら僕を呼んでいて
苦笑いを零した
今日は、僕が代わりをする