ヨコアナ
2.水遊び
身体を揺さぶられて、僕の意識が覚めた
薄らと瞼を開くと目の前には顔を覗き込んでいるラインが居て
そのまま顔中を舐められる
目の辺りを重点的に舐めているのは、目脂でもとってくれているのだろうか
離れて視線が合うと、嬉しそうに笑っていた
視界の外から聞こえる低い物音は、大きく振られる尻尾が布団の中で暴れているのだろう
「・・おはよう」
半分抱き締めたままでいてくれたのか、腕枕がしてあって
起き上がると布団がずり落ちる
その途端に寒さを感じて、慌てて両腕で身体を抱き締めた
寒さに震えているとラインも起き上がって寄り添ってくれる
昇った朝日が二人の身体を照らしていて
その身体を見て、僕は俯いてしまった
昨夜、ラインのお腹で擦られて達してしまったのをそのままにしていたために
ラインの身体は酷く汚れていて、俯いた先にある僕の身体も汚れていた
思い出すと同時に身体に痛みも走ってきて、少し顔を顰める
尻の辺りは確かめたくなかった、お腹より酷いはずだから
「マグ」
汚れたままのラインが抱きついてくる
嫌じゃない、僕だって充分汚れているのだから
身体を擦りつけられていると、硬い物まで押し当てられているのに気付く
横っ腹の辺りに何度も擦り付けてその度にラインは息を吐き出していた
知ったばかりのあの快感を、また味わいたくなったのだろう
僕が立ち上がると期待の眼差しを向けていた
「駄目」
はっきりと拒否すると、耳を折り曲げて残念そうな顔をする
昨夜あれだけやられたせいで上手く力が入らないのに、これ以上されては歩けなくなってしまう
僕からしてくれないのを理解するとラインは自分で握って扱き始めていたけれど
自分で処理をするよりも先に僕から与えられる事を覚えてしまったせいか、直ぐに飽きて腰布を巻いていた
「マグ、洗おう」
立ち上がってラインが言う
それに頷きかけて、僕は困ってしまった
だって、ラインの股間は盛り上がったままなのだから
初めてこの森に来てから、直ぐにラインが案内をしてくれたのは湖だった
当然風呂なんてないので暖かい昼の間に此処で身体を洗うのだ
湖の前に、布団をマントの様に身体に巻きつけて僕は立っていた
本当は服を着たかったのだけど、身体の汚れがついてしまうので
既に汚れている布団でどうにか勇気を振り絞って此処まで歩いてきた
横を歩いていたラインは汚れを隠そうともしないので、僕はそっちの方が恥ずかしかったのだけども
ラインが見つけた穴場の湖なのか、何度来ても此処には他に人影が見当たらない
だからこそ僕も利用出来ていた
湖の前で子供みたいにはしゃいでから、ラインは腰布を取り払って投げ捨てると水の中に飛び込んだ
初めて来た時から、ラインはこうして裸になって泳ぐのが好きな様で
それを見て苦笑いをしながら、着ている布を僕は脱ぐ
念のため辺りを一度見渡すが、やっぱり誰も居ないのか
裸になると、水際まで寄って湖に布を浸す
そのまま念入りに擦り合わせて必死にこびり付いた精液やら汗やらの汚れを落としていた
途中で水際に漂流してきたラインの腰布も救い出すと併せて洗い始める
依然ラインは水の中で泳ぎ回っていた
見張りで其処まで身体を動かしていないのにあの肉体美を維持しているのは
空いた日はひたすら此処で泳いでいるのだろうと思う
充分に洗い終えると、水の中から取り出して適度に絞ってから傍の木に広げて干す
それが終わると、また別の洗濯物を洗っていた
「マグ!」
僕が中々来ないのを不思議に思ったのか、水の中で立ってラインが歩いてくる
それを見て思わず息を呑んだ、水を吸ったラインの身体は何時もよりくっきりとしているし
その股間には勃起していないラインの雄が垂れ下がっているからで
身体を見つめている僕の服を洗う手の動きはかなりぎこちなくなっていた
それを見ながら慌てて服を洗って干すと、僕もおずおずと水の中に入る
昼とはいえ水温は低くて思わず身体が震える
それでも無理矢理身体を沈めていた
そうしないと、ラインの身体を見て興奮しているのが知られてしまいそうだった
身体を沈めながらもお腹の辺りを何度も擦って汚れを落とし始める
既に充分泳ぎ回って汚れも落ちたのか、ラインは一度湖から上がって全裸のまま大きく伸びをしていた
それを遠目で見つめながら、今しかないとラインから少し離れて僕は中腰の体勢に移る
それから、一度大きく息を吐いてそっと股の間に手を伸ばした
乾いていた精液が、水分を吸って再び粘度を取り戻していて指に纏わりつく
「んっ・・・」
昨夜散々ラインに出し入れされ、中に出されて犯された其処をなぞる
中に出された精液を掻き出さなくてはならないのだ
こんなところを、ラインに見られたくなかった
指をそっと入れて中を掻き回してから、折り曲げる
そのまま引くと、刺激になったせいで僕の身体が跳ね上がった
「マグ?何してるんだ?」
精液を掻き出す事に必死になっていて気付かなかった僕の背中に、ラインの声が届く
振り返るとラインが僕を見ていて首を傾げながら水に入ると傍へとやってくる
「あ・・・その・・・・」
全部見られていたのだろう、僕の肩越しに背中を見始めていて
その腕が尻に向かって伸びかけていた
「僕向こうに行って・・」
どうにか逃げようと、慌てて奥へ向かおうとしたのだけど
腕を掴まれて、勢い良く引き戻されてしまう
体勢を崩しても半身は水の中なので痛みは感じなかった
少し浅い所まで引き返されると、ラインは振り返って座り始める
丁度、腹の辺りまで水に浸かっていた
そして座ったラインの足の上に僕も座らせられる
抵抗しても無駄なのが分かっていたので、されるがままにしていると
ラインに身体を抱き締められた
身体が僅かに震えていたのに気付いていたのだろう
今は、水が跳ねる音がラインの後方から聞こえていた
抱き締められながらラインの方へと身体を倒される
「ライン・・見ないで・・・」
陽の光が眩しかった
僕の身体が、何一つ隠されずラインの前に曝け出される
抱き締めていた腕が、今度は身体の上を滑り出した
「マグ・・・・・」
また、言葉が聞こえなかった
何て言ったのかを考えている間にラインの手は身体全体を滑っていて
胸や脇腹に触れられる度に僕が声を上げて震えるのを知ると、其処が感じるのだと理解したのか
昨日まで責めもしなかったはずなのに今度は重点的に触れられる
「ライン、洗わないと・・・」
洗いにきたのだと、どうにか今の行為を止めさせようとする
それで、ラインの動きが漸く止まった
ほっとしたのも束の間、次にはラインの口から一番聞きたくない言葉が出てきた
「・・・・尻」
ラインが、腕を伸ばした
ラインの手が、僕の股の間に入り込んで弄り始める
「ライン・・・嫌だ・・」
既に勃起して水面に完全に姿を現している僕自身が腕に擦られて、身体が震えるけれど
それよりも今はラインの手の方が気になった
僕が弄っていたのは見ていたから、何をしているのかを探っているのだろう
「んんっ!」
一度、強く肛門を撫でられて僕が声を上げた
声を出した事に後悔する
僕の声と、指先に纏わりついた粘った液体
そして洗うという言葉、ラインはそれで答えを見つけ出してしまったのか
ご丁寧にも僕の身体を抱き締めて逃げられない様にして、洗ってくれるみたいで
「ライン、僕一人で洗うから・・・」
そう言っても、その手の動きは止まりそうもなかった
既に指一本は入る状態なのだ、ラインが何度も擦っていると
完全に落ちていない精液が指に絡まってゆき
そして、探り当てたのか一本の指を突き立てた
「あっ・・・」
一番長い中指が、一番奥まで入り込んでくる
それに僕は泣きそうになってしまう
昨日の夜はある程度洗ったからいいのだが、今はその次の日なのだ
ラインは汚いと思わないのだろうか、そんな事を考えている間にも
ラインの指は好奇心からか中を何度もなぞっては折り曲げていて
前立腺の部分を不意に抉る様に押されて、僕は悲鳴を上げた
悲鳴を聞いたラインの指が引き抜かれる
その勢い良く抜かれた刺激にも、身体を震わせてくぐもった声が洩れる
「ライン・・・も、やだ・・」
僕を苛める事に夢中になっていたせいで何時の間にか押さえていた腕は引かれていて
どうにか起き上がると、ラインの方に振り向く
振り向いた身体の腰の部分をラインは引き寄せて、今度は抱き合う様になる
上手く身体が動かせないでいると再び異物が身体の中に入る感触を感じた
「痛っ・・ライ・・・ン」
指が二本同時に入れられている
何時も入れる僕の指ではない、それより二回りは大きな指が二本だ
流石に苦しくて僕の顔が苦痛に歪む
「冷たい・・」
指を二本も入れられれば、広げた隙間から当然水が入り込んでくる
液体が入り込む感覚に、ラインに中に出された事が鮮明に甦った
それで、僕は自分を見失った
先程まで苦しい声を上げていたはずなのに、喘ぎに近いものが出始める
ラインの股間を見ると、何時の間にか大きく膨らんでいた
今までのラインはこれから貰える刺激にだけ反応して勃起をしていたのだが
今は、確実に僕を感じさせる事で性的興奮を覚えているのだろう
既にまともに判断も下せなくなった僕の頭は、それを見て喜びを伝えていた
ラインの首に腕を回す
「・・・寒い」
身体は火照っていた
それでも、長時間水の中に居るのは辛かった
ラインが指を引き抜いて僕の身体を持ち上げながら立ち上がった
身体の中に入っていた水が、零れ落ちていた
比較的陽が当たり、軟らかい草のある大地の上に身体を寝かされる
僕の上にラインは覆い被さった
「ライン、無理・・・」
体力は未だに無いままで、とても昨日の様な事が出来るはずがなかった
風が吹いて震える身体をラインの身体が包んでくれる
「マグ・・・寒いか?」
ラインは充分に身体を動かしたのかあまり寒さを感じていないのか
その温かさが全身を包んでくれた
胸に顔を埋めながら、何度も頷く
「あったかいよ・・・・」
ラインの体温を分けられた様な気がして、不思議と震えが治まる
震えが治まると火照りが大きくなり、ラインも身体を起こした
ラインは勃起した陰茎を僕の腹に擦りつけ始める
僕の身体を心配して、中に入れる事は諦めたのだろう
擦る度に、まだ刺激に慣れていないラインは何度も喘ぐ
その喘ぐ声や仕草が僕の興奮を掻き立てていた
ラインの腰の動きが段々と小刻みになってくる
「マグッ!!」
僕の名前を叫んだ後、その身体が硬直した
腹筋が何度もわなわなと震えて、それに合わせて精液が飛び出してくる
「わっ」
昨夜あれだけ僕の口内や腸内に吐き出したというのに
まったく衰えずに出る大量の精液が僕の腹や胸を汚していた
一頻り吐き出し終えると、ラインは目を開いて僕の身体を汚したばかりの精液をまじまじと見つめる
掌で僕の身体に触れると、挟まれた粘液が僅かに音を立てた
精液を掬い取ると臭いを嗅いで顔を顰めたり、握ってから手を開いて纏わりつく粘液を観察していた
こうして明るい場所で精液を眺めるのが初めてだからそんな事になるのだろうと、少し微笑ましい気持ちになる
少しの間そうして観察を続けていたラインは、不意に吐き出した精液をまた掬うと
口から唾液も吐き出してそれを合わせてからそっと射精したばかりの自身を再び握った
まだ足りないのだろうか、結構絶倫なんだライン
と、見ていて暢気に僕は考えながら動きを見守っていた
ラインが、激しい勢いで自らの雄を扱き上げる
掌から零れた粘液だか唾液だかよくわからないものは、陰茎を伝ってから僕の腹に落ちていた
「はぁっ・・・マグ・・」
目の前で自慰に耽る狼を見つめる
目を閉じる事なく扱いているのは、僕を犯しているところを想像しているのだろうか
手の動きは乱暴で、この速さで僕の中に入りたいのが伝わってきた
口から涎を零して、汗とさっきまで入っていた湖の水が混ざってぽたぽたと落ちてゆく
水から上がったはずなのに僕の身体はびしょ濡れになっていた
ラインの手の動きが更に荒々しくなる
達したばかりで上手く射精に辿り着かないのだろう
それでも時々強い刺激に身を捩じらせる姿を見ると、僕も刺激が欲しくなってくる
ふと、ラインが握っていた手を放した
解放された陰茎や、開いた掌から訳の分からない液体が止め処なく糸を引いて落ちてゆく
少し腰を上げていたラインが、下ろすとぴったりと僕にくっついた
そして、お互いの距離が近づいたところで
ラインが、僕と自分自身の性器を重ねると先程の様に素早い動きで扱き始めた
「ああっ、ライン!!」
突然の事に驚いて、身体全体で反応をしてしまう
密着しているラインの雄は何度も震えていて、不思議とすごく熱いものの様に感じられた
「ライン、やぁ・・」
混乱状態に陥ってしまったのは僕の方で、上手く声も上げられずに手が動く度に身体を仰け反らせてしまう
今まで散々目の前でラインの身体を堪能していたのだ、我慢出来るはずなかった
「い、イくっ・・・・んっ!」
ラインよりも先に僕は射精を果たした
ずっと勃起させていたせいか、僕自身からも結構な量の白濁液が飛び出す
「ガハァッ!!」
僕が感じながら達した顔を見て、数秒遅れてラインも一度手を放して僕を解放した後
砲身を高い所に向けてから咳込む様に叫んで二度目の絶頂を迎える
僕の射精が終わりかけた頃に、今度はラインの精液が僕の身体に掛けられる
上に向けて達したせいか、首や頬にまで届いていた
まるで身体の上に何かが乗っている様な錯覚すら覚える程、身体が白く汚れていた
「うわぁ・・・」
冷静になってよく見た、僕の言葉だった
こうしている間にもラインは尿道に残った精液を絞り上げて僕の上に出しているし
その身体からも汗なのか水なのか精液なのか唾液なのかよく分からない液体が降り注いでいて
さっきまで洗っていた意味が完全に無くなっていた
「ラインずるい・・」
精液まみれの僕に比べたら、ラインなんてほとんど汚れていないのに等しかった
僕がそう言っているのに気付いたのかは分からないけれど
程無くしてその身体が僕の上に重なって、間の粘液が音を立てた
そのまま、身体を上下に擦りつけられる
余計事態が悪化している気がした
僕が微かに頭痛を感じていても、悪化させた原因のラインは
僕の首や頬にこびり付いた自分の精液を舐め取っては、味まで確かめている様で
あまり気に入らなかったのか難しい顔をしていた
ラインが身体を持ち上げる
僕との間に、幾つも粘液で作られた糸が現れていた
僕の身体を持ち上げると、そのまままた湖に入って身体中を丁寧に洗ってくれた
全身を洗い終えると湖から上がり身体が乾くまで抱き締めてくれる
腕に包まれて、お互いに思いついた言葉を話す
ラインの言葉は何時も聞き取れない部分が多いけれど
首を傾げると、一生懸命にどうにか伝えようとしてくれるのが好きだった
崖の上の穴蔵に戻った
結局ラインに半ば無理矢理されてしまった様なもので、脱力して僕は座り込む
最初はその周りでラインはうろちょろしていたけれど、思い出した様に外へ向かって行った
今日は非番なのだけどそれでも時間が余ればそうして見張りに勤しむ様で
それを見届けると、僕は着ていた布団代わりの布を脱いで洗いたての服を身につけた
仕度を済ませると簡素な作りの机に向かう
机は集落から頂戴したもので、その前に置いてある座布団として使える物は
僕が此処に長く座る事を知ったラインが態々探し出してきてくれた物だった
遠慮なくその上に座ると、数少ない僕の持ってきた備品のペンを取り出してから
広げた書類に事細かに情報を書き足してゆく
集落周辺や住人の様子、今居る場所の事
今行ってきたばかりの湖の詳細な位置
他にも、知りたいと言った僕の言葉を受け取ったラインが案内してくれた様々な場所や物
こうして紙に纏めて見ると此処もそれなりのものがあった
不便な事は多いけれど、此処に住んでいるラインにとってはこれが全てなのだろう
そのラインを僕の住んでいる町に招待したらどんな反応を示すのかと
考え始めると、何だか楽しくなってきてしまう
ある程度の事を書き終えると、僕は立ち上がった
直ぐ其処に居る人の事ばかり考えていると、会いたくなる